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ビットコインに所有権なし 原告があえて「無理筋」の物権的請求権で勝負した理由は?

 

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仮想通貨である「ビットコイン」の取引所「マウントゴックス」を利用していた男性が、同社の破産管財人に対して、自身が預けていた約458BTC(約3100万円相当)の返還を求めた訴訟について、8月5日、東京地裁は「ビットコインは所有権の対象とならない」として、請求を棄却した。

判決では、所有権は「有体物」として排他的に支配できるものを対象としていると指摘。デジタルの仮想通貨であるビットコインは「有体物」に当たらず、また、利用者間でやりとりする際には、第三者が関与する仕組みになっていることを理由に排他的支配もないとした。

実務家からは、仮想通貨であるビットコインに所有権を主張することは「無理筋だ」との声が圧倒的だった。原告がマウント・ゴックスに対して、特定のウォレットからビットコインを支出する権利があることを証明する「秘密鍵」を引渡す請求権を有することには問題はないだろう。なぜ、原告はあえて物権的請求権で構成したのか。

この問題について、日比谷中田法律事務所の山田広毅弁護士は、経済ニュースキュレーションサイト「NewsPicks」でのコメントの中で、「マウントゴックス」社の破産手続が進行中であり、債権的請求権は破産免責で消えてしまうが、物権的請求権は消えないことと関係する、と指摘。ビットコインの秘密鍵が有体物であり所有権の対象であるなら、原告は取引所利用契約上の秘密鍵引渡し請求権(債権的請求権)に加えて、所有権に基づく秘密鍵引渡し請求権(物権的請求権)も有していることになって請求権を行使し続けられるため、あえてこの構成をとったのではないかと分析した。

報道によると、本人訴訟で行われているとの情報もあるため、そこまで考えているかは定かではないが、合理的な理由があると考えることができるようだ。

しかし、報道に対する反応を見ていると「所有権が認められないなんて、ビットコインは危険、怪しい」というイメージだけが膨らんでいる印象がある。原告が所有権で構成した理由、所有権以外の保護の可能性などについて、適切な情報提供が望まれる。


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