アヴァンセが「探偵」業に参入ーー弁護士業へのシナジーは?




弁護士法人が法律業務以外の分野に進出することは、最近は珍しい話ではない。

回転寿司を始めた法律事務所が出てきた時はさすがに業界がざわついたが、最近ではそれなりに本業とのシナジーを感じることができる事業もある。

今回は代表弁護士が元暴走族の幹部だったことでおなじみ、アヴァンセ・リーガルグループの「事業」を紹介する。

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アヴァンセ・リーガルグループは弁護士法人であるが、株式会社アヴァンセ・インテリジェンスを運営し、「東京探偵社AI」を営んでいる。

料金については以下のようになっているようだ。

行動調査:1時間6000円

盗聴器・盗撮器発見調査:30,000円~

人探し・家出調査:100,000円~【着手金】

筆跡・声紋・DNA鑑定:50,000円~【診断】、500,000円~【各種鑑定】

セクハラ・パワハラ対策:30,000円~

声紋、DNAの「鑑定」までやれるというのは、従来の探偵の枠を超えたサービスともいえる。

また、セクハラ・パワハラ対策というものは、どういう業務になるのだろうか。これは探偵業というより、法的な問題を指摘するために弁護士が稼働してもおかしくなさそうだ。

 

探偵業で最も弁護士業務にシナジー効果が高いのは、浮気調査だと思われる。

配偶者の浮気に悩んでいる人は、当然、潜在的なクライアントだ。離婚や不貞行為に関する損害賠償請求の案件の受任に直結する可能性が高い。

 

また、法律事務所のノウハウを生かし、証拠収集も訴訟を見据えた形で行うことができることは非常に大きなメリットだ。

慰謝料の算定にあたっては、不貞行為をされた人が受けた精神的苦痛の程度不貞行為の発覚によって夫婦の婚姻関係が破綻したといえるか不貞行為の期間や回数自身の配偶者と相手方とどちらが不貞行為に積極的だったのかなども考慮要素となる。

証拠として収集した写真や資料で、裁判官の心証を確実に取ることができるかは、弁護士でないと判断がつかないことも多いだろう。

不貞行為の慰謝料の相場は50万円から400万円程度と幅があり、的確な主張ができるかによってクライアントが得られる利益も大きく変わってくる。

 

探偵業については、調査依頼者との間の契約内容をめぐるトラブルや、違法な手段による調査など、悪質な業者による不適切な営業活動が後を絶たず、これに対応するため探偵業の業務の適正化に関する法律が制定されている。

しかし、どのような業者なら安心して任せられるかはまだほとんど情報もない。一般人にとっては、弁護士を選ぶことより難しいだろう。

弁護士法人が運営していれば、弁護士会の監督もはたらく以上、ある程度の信頼は担保されているといえるかもしれない。

 

弁護士は法律相談や顧客の紹介などで事件を受任することが通常だが、アヴァンセの試みは、弁護士業務に隣接する別業種を立ち上げて、そこから本業に送客するという可能性を秘めている。

探偵事務所が法律事務所と提携しているという例はそれなりに存在するが、弁護士法人が探偵業を傘下に抱える形は、新しいモデルを示すものと言えるだろう。