新型コロナウイルスの影響も受け、「置き配」を可能にする工夫が浸透してきている。従前からEC市場は急激に伸び、宅配便の取扱個数も平成25年から平成30年の間に18%、個数にして6.7億個も増加し(経済産業省「置き配の現状と実施に向けたポイント」)、再配達問題が社会問題化していることは周知の事実だ。その解決に向け、国土交通省と経済産業省は「置き配検討会」を設置している。
「置き配」を巡っては、法律的な懸念点もあった。消防法第8条2の4では、「(略)当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。」とされている。しかし、「置き配検討会」において策定された「置き配の現状と実施に向けたポイント」においては、集合住宅における共用部での置き配について「宅配物など避難の支障とならない少量の私物を暫定的に置く場合、(消防法における)法的問題にはならない」との見解が述べられている。
こうした行政からの後押しもあり、民間不動産会社の動きも活発になっている。株式会社レオパレス21は、Yper株式会社が提供する置き配バッグサービス「OKIPPA(オキッパ)」を、レオパレス21が管理する全国の賃貸物件約57万室の推奨宅配ボックス環境として採用した。
置き配バッグ「OKIPPA」は、煩雑な再配達受け取りを不要にする吊り下げ式の簡易宅配ボックスだ。設置工事は不要であり、使用時以外は手のひらサイズに折りたたんでおける。ECのヘビーユーザーや宅配ボックスがない住居への入居者を中心に、2020年10月12日現在、全国15万世帯以上で利用されている。
レオパレス21の常務執行役員 佐々木竜也氏によると、同社の物件は単身向けが主であることから、不在時の荷物受け取りに困っていた入居者も多かったところ、「OKIPPA」は盗難への対策やアプリ連動による配達完了通知など、利用者へのフォローも充実しいることから、この度の採用によって入居者の利便性向上とともに再配達減少への貢献にもつなげていきたいという。
各通販サイトや配送会社が置き配を積極的に進めており、新型コロナウイルスの感染症対策、およびテレワーク時の利便性のための荷物の非対面受け取りへの入居者ニーズはますます高まってる中、こうした置き配サービスの導入は一層進んでいくことが予想される。